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■1 喧嘩の発端は些細な事だった。今まで何度も繰り返してきた、本当に些細な言い争い。 「獄寺君は酷い」 二人並んでの学校からの帰り道。十字路で信号待ちをしていると、綱吉が歩道の黄色いでこぼこを暇つぶしに足でつつきながら呟いた。眉間にしわを寄せ、口を尖らせて。 (そんな顔されると眉間にシワがついてかわいい顔が台無しですよ。シワのある10代目も威厳があってシブイっスけど) 獄寺は心の中で呟くにとどめ問い返す。 「どこがですか? 具体的に仰って頂ければ早急に改めます」 獄寺にとって綱吉はボスであり最愛の恋人だ。不満だと訴えられれば心当たりが無くとも善処するとしか言えない。 綱吉はイライラと黄色のでこぼこを踏みつけて、さっきよりも眉根を寄せた。 「そーゆーとこ。いちいちオレから指摘しないと気付いてないところ。いかにも自分の方が下手に出てますって態度で、オレがわがままで困らせてるみたいで罪悪感わかせる言い方とか、全部だよ」 「すみません」 「何で謝るの? 自分が悪いなんて思ってもないくせに。オレが機嫌悪そうだから謝っておけばいいやって思ってるんだろ」 「10代目…」 獄寺は内心ため息をつく。綱吉は高校生になってから、こんな理不尽としか思えない理由で絡んでくる事が多くなった。 獄寺はイライラの原因を少しでも読み取れないものかと、綱吉をじっと見つめた。 綱吉は中学生の時より10センチ以上背が伸びて、顔も頬の膨らみが削げ随分男らしい印象になったのだが、成長の過程をつぶさに見つめ続けた獄寺には昔より渋さが増して、怒っている横顔にも色気を感じる。 正直少しムラムラしてしまったのだが、そんな事がバレるとまた責められる原因になるので、にやけそうになる頬を引き締めた。 綱吉は黄色いでこぼこを踏みにじる足を止めない。歩行者用の信号が青になっている事にも気が付いていないようだ。 こんな風に理由を言わず不満をぶつけられるだけでは、遠回しに別れ話を持ちかけられている気がする。そんな事は無いと思いながらも不安になるのは、結局は綱吉の気持ちを理解出来ていないからだ。 「…10代目はオレが嫌いなんですか?」 「嫌いじゃないよ。嫌いなら付き合ってない」 「じゃあ……、好きですか?」 それが癇に障ったのか、綱吉はキッと獄寺を睨み付けてきた。 「何でわざわざ分かり切った事言わせようとするんだ」 「10代目がホントにオレを好きなのか、不安にさせるからです。たまにはちゃんと言葉で仰って欲しいです。それから――態度とかでも」 「エッチさせないから不満なんだってハッキリ言えば?」 「別にそれだけじゃ…」 「そんなに不満ならもっとエッチさせてくれる人と付き合えば!?」 「10代目!」 (幾らなんでもあんまりだ) 獄寺の咎める声が強くなったせいか、綱吉はぷいと視線をそらしてまた黄色の地面を踏みしめた。 「…今日は送らなくていい」 綱吉は一言残し、既に赤い信号の下を駆け抜けていった。 「10代目!」 獄寺が追いかけようとすると車道側の信号は青になったところでクラクションを鳴らされた。次々と車が通りすぎ、その間に綱吉の後ろ姿は信号向こうの、一番手前の路地に消えていった。いつもならもっと先の横道から家へ帰るのに、獄寺の視界から早く見えなくなりたいと言わんばかりだ。 獄寺は途方に暮れて綱吉が踏んでいた視覚障害者用の黄色いラインを見つめた。 (……酷いのはあなたです。 オレはあなたのものだし、あなたがどう扱おうと自由ですけど、そうやってオレなんか必要ないって態度に出られると、寂しいです…) じわりと滲んだ視界を手で拭って、獄寺は自宅であるマンションへ歩き出した。 ◇ ◇ ◇ 二人が恋人同士になったのは中学三年生の夏だ。部下の立場でありながら恋心を隠す事に限界だった獄寺が、夏の暑さを言い訳にして告白したのが新たなる関係の始まり。 告白のあと綱吉が無言のまま下を向いてしまったので、獄寺は御不興を買ってしまった、ファミリー追放か、などと血の気が引いたのだが、綱吉は良かった…と泣いていた。 『獄寺君はオレの事ボスだと思ってるから、オレから告白したらオレを好きじゃなくても断れないだろうから、獄寺君から好きって言ってくれるの待ってたんだ。うれしい…ありがとう。オレも獄寺君が大好きだ。……オレの恋人になってくれる?』 頬を染め綺麗な涙に濡れた綱吉は殺人的に愛らしかった。 『もちろんです! 光栄です! 大切にします! 10代目を幸せに、この命つきるまで――いや、もちろん10代目を残して死んだりしませんよ。物の例えです。オレは身も心もあなたに、沢田綱吉さんに捧げて尽くす事を誓います…!』 夏だというのに獄寺は暑苦しく抱きつき、半泣きで宣言した。 獄寺にとって何よりの幸運は、リボーンが二人の交際を許してくれた事だ。とは言え黒衣の家庭教師は抜かりなく、獄寺に釘を刺すのを忘れなかった。 『但し、ツナが10代目に就任するまでだ』 綱吉は未来のドン・ボンゴレで、やがて何万というファミリーの頂点に君臨する存在だ。最初から叶わないと諦めかけていた恋だから、例え期限付きだとしても獄寺は毎日がバラ色だった。 獄寺は最初の誓いどおり綱吉を一層大切にした。恥ずかしがり屋の恋人の願いを守り、人前ではそれまでと同じ部下で友達というバランスを崩さず、二人きりになればはやる気持ちにブレーキをかけて、綱吉が驚かないよう怖がらないよう、ゆっくりじっくり自分の要求を叶えてもらう作戦に出た。 まずは手を繋ぐところから始め、肩に手を回し髪の毛を撫でて、抱きしめたり抱き上げたり、触れるだけのキスから啄むキスをして、唇を割って深いキスをするまでの間も焦らなかった。 そのうち綱吉が深いキスにも慣れて自分から強請ってくれるようになった頃、獄寺の部屋で体中触らせてもらい、たくさんキスをして、綱吉のピンク色でかわいい部分を舐めたり弄ったり出させたり飲んだりとにかく気持ちよくさせて、自分のモノを触ってもらったり、指を入れてもいいですかと聞いてみたり、少しずつ確実に関係を深めていった。 最後の一線も、まだ心の準備が出来ないからと中学卒業を最初の目安にされ、次いで高校の合格発表を見るまでになり、結局高校生になってからと、延び延びにされても耐えに耐え、獄寺は辛抱強く綱吉がその気になってくれるのを待った。 そして初めての夜。獄寺はバラの花を部屋に飾りささやかにムード作りをした。本当は部屋中溢れんばかりに花を咲かせて、それ以外にも綱吉にとっていい思い出になるようなプランをいくつも考えていたのだが、うっかり部屋一杯のバラの話がばれてしまい即座に拒否られた。 『女の子じゃあるまいし。そんな恥ずかしい事されるぐらいなら二度とここへは来ないから!』 仕方なく獄寺はバラを一束だけにして、入学祝いだと口実を付けて指輪を贈った。そして綱吉の小指に填めてもらえたリングに口付けて、付き合い始めに誓った言葉をもう一度心から伝えた。 獄寺は綱吉にひっかき傷ほども痛い思いをさせたくなかったので、その日のために調べて勉強して万全の用意を調えて事に及んだ。 愛しい恋人が怖くないよう辛くないよう、やさしくやさしく、ゆっくりじっくり溶かして解して、一つになった。 綱吉は獄寺に縋ってたくさん泣いた。獄寺が謝りながら気遣うと、違うよとまた泣いた。 『オレ嬉しいんだ。気持ちいい…。獄寺君も気持ちいい? どうしよう…。こんなの初めて……。ゴメンね。獄寺君に一杯我慢させた。我慢してくれてありがとう。オレもう怖くないから……これから二人でずっと……いっぱい、気持ちいい事しよう…』 そんな嬉しい事を、努力が報われて泣きそうな事を、恋人がかわいい声と綺麗な顔で言ってくれたものだから、獄寺は夢中で抱きしめた身体を揺さぶり、もっと感じさせて泣かせた。綱吉は獄寺の背中をぎゅうぎゅう抱きしめて、自分から腰を擦りつけてきた。 『……好き…んっ――だいすき…… あいしてるごくでらくん』 気が遠くなるほどの最高の瞬間に、最愛の恋人から愛の言葉を貰えて、獄寺は至福の時を味わった。 息を乱して恥ずかしさで顔を背ける綱吉に、獄寺はたくさんキスをした。真っ赤な頬、こすられて腫れたまぶた、汗の浮いた額、小さな鼻の頭、開きっぱなしになった唇、愛おしくてかわいい場所に柔らかい口付けを惜しみなく落とした。 綱吉の瞳が疲れで閉じられる前に、獄寺は恋人をシャワーで清め、髪の毛を乾かし、パジャマを着せて清潔なシーツの上に横たえた。そして隣に並んで上掛けでお互いを包み、ピッタリ寄り添って眠りに就いた。 その夜が獄寺にとって人生最高潮。折れ線グラフの頂点だった。 翌日、獄寺が目覚めると普段寝ぼすけな綱吉がとっくに起きていて、あろう事か飲んだくれていた。二人で過ごす時にこっそり楽しむ為のアルコール度五%のチューハイ(綱吉用)を二本も(綱吉は酒に弱い)空にして、ろれつの回らない口で悪態を付かれた。 『何があったんスか10代目!』 昨夜あんなに幸せな時間を過ごした恋人が一夜明けると酒浸りなんて、悪夢としか思えない。ところが、真の悪夢はそのあとで、その日以降、綱吉は獄寺の求めを拒むようになってしまったのだ。 機嫌がいい時はキスもそれ以上も許してくれるのだが、初めての時に獄寺を喜ばせた行為はなかなかさせて貰えない。丁度あの日を境に元に戻ったと思えば、長い間我慢してきた経験と培った忍耐力で、綱吉がその気になるまで耐えられると思ったのだけれど、なまじ最高の経験をしてしまったせいで拷問のような日々が続いた。 どうしてこんな事になってしまったのか、獄寺には全く分からなかった。どんなに尋ねても綱吉はハッキリした理由を言ってくれない。初めての夜が大失敗であれば獄寺も当然だと思えるが、あの日綱吉はノリノリで、獄寺の心配も消し飛ぶほどエロくてかわいかった。 何より獄寺が困惑しているのは、綱吉が妙にひねくれて素直でなくなった事だ。 何度も拒まれるとさすがに獄寺も傷ついたし、綱吉にしつこくして困らせたり疎まれたりするのは嫌だったので紳士的に振る舞うと、『オレ……魅力無い?……もう飽きちゃった? まさか浮気してる!?』と鬼の形相で詰め寄られ、『とんでもありません! オレは10代目一筋っスから!』と慌てる獄寺に綱吉は頬を染めて頭を胸へ擦りつけて来たから、今日は最後まで行けるかもと期待してイチャイチャし始めると、『獄寺君はオレの身体だけが目的なの!?』なんて非難してくる。そのくせ別の日には獄寺が戸惑うほど甘えてきて、いつ豹変するかとドキドキハラハラしながらもおいしく食べさせてもらい、久々の甘い時間に安心していたら、やっぱりそのあと冷たくされた。 あの夜から四ヶ月。最後まで出来た機会は片手分もない。セックスばかりが愛情表現ではないけれど、普段二人がそんな関係だとは欠片も周りに気付かれないよう抑えているので、どうしてもそっち方向で確認したくなる。 『……オレ……下手っスか…?』 一度思い切って聞いてみたら、 『獄寺君以外とした事無いから分からない』 不機嫌な声で突き放された。 時々獄寺は中学時代を懐かしく思う。あの頃の綱吉は獄寺がとんでもないヘマをしても醜態をさらしても、いつも優しくて、獄寺を励まし労り心配し感謝してくれた。セックスも最後までの許しがないだけで、四六時中(二人きりの時のみだが)イチャイチャさせてくれ、何度裸で重なり合っても恥じらい頬を染め、口付けにとろけながらも初々しい反応で獄寺をときめかせた。 ◇ ◇ ◇ 獄寺は今更ながら、ここしばらく綱吉の笑顔を見ていない事に気が付いた。 『獄寺君は酷い』 言いがかりに思えた綱吉の言葉は、獄寺に自覚がないだけで本当の事なのかもしれない。 綱吉から笑顔を奪ったのは獄寺だ。綱吉はいつも獄寺に怒っている気がする。 オレが何故怒っているのか分かろうとしていないと。それでも恋人なのか、部下なのか、誓った言葉は嘘だったのかと。 最初から叶わないと思っていた恋だった。所詮自分のような小さな人間には支えきれない存在なのかもしれない。 けれど。 獄寺は自分以外の誰かに綱吉の隣を譲る気はなかった。かなり一方的に詰られたり責められたり正直泣きたい時もたくさんあるのだが、綱吉が獄寺を必要としてくれるうちは、二度と近づくなと言われないうちは、側にいていいのだと思う。 綱吉が左手の小指にあのリングをしてくれている間は――。 自宅のマンションに帰った獄寺は、制服からTシャツとジーンズに着替え、ひとまずリビングのソファーに座り一服した。煙草を吸うと帰り道でのどうしようもない不安が抑えられて、少し冷静になれた。 「……そろそろ落ち着かれたかな…」 帰り道での喧嘩は程度の差はあれどしょっちゅうなので、仲直りのパターンもいくつか出来上がっている。今日のように送られるのを拒まれた場合は無理に付いていかず、一旦お互いが家に帰った頃を見計らってまず電話するのがセオリーだ。 獄寺は着替えた時にジーンズの尻ポケットに入れておいた携帯を取り出し、電話帳を液晶画面に開く。登録の1番目は綱吉の携帯で二番が沢田家の番号だ。 綱吉の携帯電話に電話して出て貰えなかった場合の家電は、大概綱吉の母が出てくれて綱吉を受話器まで呼んでくれる。綱吉がそこで出渋っても、『また喧嘩したの? どうせツッ君が獄寺君にわがまま言い過ぎたからでしょ。ちゃんとあやまんなさい!』なんて逆に叱られて(受話器越しに聞こえる)、不機嫌そうなぶっきらぼうな声で出てくれるのだ。 ちょっとだけ考えて、最初は携帯にかける事にした。家電は綱吉の母が出てくれれば好都合なのだが、たまにランボやビアンキが出ると、わざと切られたり関係ない話で延々替わって貰えないというリスクも大きい。 携帯を鳴らして綱吉が出てくれたら、まずさっきの事を謝ろう。きっとまた色々言われるだろうけれど、とにかく謝って『電話じゃアレだから会いに行っていいですか』と聞いてみて、大抵いつもなら『勝手にすれば』と言って貰えるからすぐに沢田家に行き、まだ文句を言う小さなかわいい唇を自分のそれで塞ぐのだ。綱吉はキスが好きなので、啄むキスから深いキスまで充分に満足させられたら、小さな声で『……オレも言いすぎた』と言ってくれるだろう。 シミュレートしながら獄寺は、妄想世界の綱吉の可憐さに赤くなった。もともと妄想過多な性質な上に、綱吉につれなくされるようになってからは、心の傷を癒したくて妄想に耽ってしまいがちだ。キスまではこれまでに何度かあった仲直りパターンだが、妄想だと綱吉が3割り増しで素直になっているので、うっかりシャツの裾から手を入れて肌をまさぐりベッドに押し倒し、延々とご都合な事を考えてしまった。 妄想を消し去るために深く紫煙を吸い込み、灰皿に押しつける。 何度経験してもこの電話をかける前の緊張は消える事がない。 獄寺が胸の鼓動を感じながら携帯のボタンに指をかけようとしたところ、ボムンという音が部屋中に響いた。 「…っだこりゃ!」 謎の音と共に部屋中が真っ白な煙に包まれる。獄寺は息を止める前に煙を吸い込んでしまい激しく咳き込んだ。 「くそっ! オレとした事が」 ソファーを飛び降り煙草に点火しダイナマイトを取り出す。 煙は毒性の物では無いようだったが火薬の匂いが混じり、明らかに何かしらの爆発物が破裂した物だ。その割りに閃光や爆風、爆発時の破片の飛散が無い事など疑問もあったが、爆発するまでそんな物を部屋に取り付けられていたというセキュリティーの甘さや、気が付かなかった自分の腑抜けぶりが許せない。何年も平和な日本で過ごすうち、危機を回避する命の綱、マフィアの感と言う物がすっかり麻痺している。 ソファーを盾にして煙が晴れるのを待つ間、獄寺はますます違和感を感じた。煙には毒性も破壊力もなく、爆発した部屋の中央に人の気配があるというのに殺気の欠片もない。それどころか煙にむせて咳き込む子どもっぽい息づかいが聞こえた。 そっと物陰から様子を伺い、獄寺は我が目を疑った。 「じゅ、10代目?」 煙が晴れた部屋の中には、さっき喧嘩別れをした綱吉がぺたりと座り込み、咽せ込みで出た生理的な涙を拭っていた。 「ど、どうしてここにっ大丈夫っスか!」 獄寺はソファーを飛び越え綱吉に駆け寄り、ようやく綱吉の異変に気が付いた。 綱吉はまるで獄寺と初めて出会った頃のような、やせて華奢な身体に母親譲りの一見少女にも思える中性的な顔をしていた。よく見ると裾を出したシャツの下に履いているズボンは並中の制服で、まるでこれは綱吉が小さくなったのではなくて、中学生の綱吉が10年バズーカで入れ替わったようにしか思えない。 しかし、ここにはランボも10年バズーカもない。その上10年単位の10年バズーカでは年月差が合わない。 突然現れた中学時代の綱吉としか思えない少年を前に、獄寺はどうしたらいいのか分からずしばし固まった。 少年はきょろきょろ周りを見渡し、獄寺をじっと見上げた。 「……ここ、獄寺君の家、だよね?」 声変わり間もないかわいい声は綱吉がかつて持っていたものだ。 少年の瞳には多少不安の色があるだけで、悪意や作為など読み取れない。 獄寺が目を離せないまま頷くと、少年は安心したように笑顔を見せた。 「よかった。ちゃんと成功したんだ。ねぇ、獄寺君は今いくつ? 高校生ぐらい? すごくカッコイイね!」 無邪気に笑って立ち上がった少年は獄寺に抱きついてくる。 柔らかい暖かなぬくもりに獄寺は目眩がした。間違いなくこの少年は綱吉なのだと、獄寺のDNAに組み込まれているのではないかという綱吉センサーが告げている。今目の前にいる小さな少年は偽物でも作り物でもよく似たそっくりさんでもない、本物の綱吉なのだと。 満面の笑みで見上げられて、獄寺はぞくりと背中を震わせた。 >> |
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